2006年10月13日のグレージング

2006年10月13日(金)のグレージングは、
ふたご座の6.4等級の恒星ZC1093が月齢21.1(下弦の少し前)の月に隠されるものでした。
北限界線(星が隠れる地域の北側の境界)が山陰地方と東北地方を通っており、
東北地方では山形県鶴岡市、岩手県北上市、花巻市などを北限界線が通っていました。
この星は7.2等級の星が1.08秒角離れている二重星です。
図4

我々東北大学天文同好会は、元々は岩手県花巻市で観測する予定でしたが、
直前に天候の関係で山形県鶴岡市に変更しました。参加者は7名で、
機材や経験者の数を考慮して4班に分かれて布陣しました。
鶴岡市では予想される北限界線が市の中心部にごく近いところを通っていて、
予想された現象時刻は24時00分ほぼちょうどでした。
連星

 観測結果は、沖田班は5D5R、尾本班は3D3R、佐藤班は1D1R、戸澗班は1D1Rで、
合計10D10Rという大勝利でした。この星は二重星だったため、
普通のように一瞬で消えたり現れたりせず、少し暗くなってから消えたり、
少し暗い星が現れてから明るくなったりしました。しかしその時間は短く、
しかも2つが同じ明るさだったため、どちらが見えていたのかも区別しづらく、
観測がやや難しい現象でした。
 我々の観測結果は、2007年5月号の天文ガイド132-133頁に掲載されました。
図4

我々の他に3班、合計7地点で観測が行われました。
得られた結果は、事前に予測された月縁データと一致する部分もありましたが、
大きくずれた場所も目立ちました。これは、星が二重星だった影響が考えられます。
主星と伴星が両方隠された地点と、伴星のみが隠された地点があり、
2つの星による現象が混ざってしまっている結果のようです。

 今回は、佐藤(信)班と佐藤(瑞・智)の距離1.48kmが、
予報された2つの星の角距離1.08秒角にちょうど相当していました。
このため、この2つの地点では星が隠される時間が同じになるはずでした。
実際は、佐藤(瑞・智)班のほうが1秒ほど長くなり、
星が予想よりも離れていることが示唆されます。
しかし、二重星だったため観測誤差が大きかったことを考慮すると、
予報と大きく違わない値だったと考えられます。

 この現象では、対象星が二重星だったため、
普通のグレージングで得られる月の地形の情報に加えて、
二重星の距離の情報も得ることができ、天文学に僅かながら貢献することができました。
このように、比較的簡単な観測ながら、
学術的にも意味のあるデータを得られるのもグレージングの醍醐味の一つです

written by Mizuki Sato(2010)..
図表は2007年5月号の天文ガイド132-133頁紙面よりお借りしました。

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